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日立オートモティブシステムズ株式会社(代表取締役:社長執行役員&CEO ブリス・コッホ(Brice Koch)※以下:ブリス・コッホ)は、2009年に株式会社日立製作所内の自動車部品部門を分社化し設立された。社内にコーポレート部門、営業統括部門、パワートレイン&電子事業部、エンジン機構事業部、走行制御事業部、情報安全システム事業部、市販事業部を持ち、国内外を問わず、様々な分野の開発と販売を行っている。



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◆3つのメガトレンド

 同社は「電子電動化」、「自動運転」、「コネクティビティ」の3つをメガトレンドとして掲げている。いずれも日本国内外の自動車業界としては勿論のこと、業界外ひいては一般ユーザーも無視することの出来ない重大な案件である。

 社長執行役員&CEOのブリス・コッホ氏も、自社ホームページにて以下のように語っている。

 「現在、自動車業界は、持続可能な環境やクルマの安全性、快適性の向上に対する重点的な取り組みとともに、さらなる規制強化や技術進展によって、急激な変革に直面しています。それに伴い、自動車メーカーにおける技術革新のみならず、異業種の参入も顕在化しており、電動化や自動運転、コネクテッド、モビリティサービスの進化に向けた取り組みがさらに拡大しています。」(HPより抜粋)

 「多様な市場変化にもグローバルに対応していく」というブリス・コッホ氏の言葉の通り、同社は国内外に数多くの拠点を持つ。

 国外は、欧州が9社15拠点(欧州地域統括:日立オートモティブシステムズヨーロッパ)、アジアが13社15拠点(アジア地域統括:日立オートモティブシステムズアジア バンコク事務所)、中国が18社28拠点(中国地域統括:日立汽車系統)、北米が3社15拠点(北米地域統括:日立オートモティブシステムズアメリカズファーミントンヒルズ事務所)、ラテンアメリカが6社11拠点(ラテンアメリカ統括:日立オートモティブシステムズメヒコ メキシコシティ事務所)。日本国内は15社52拠点あり、合計で64社136拠点を有している。

 取り扱う部品は数多く、エンジンパワートレインシステム、電動パワートレインシステム、車両統合制御システム等を取り扱う。アフターマーケット製品・整備用品では、パワーステアリングポンプ、ショックアブソーバー、ブレーキパッド、イグニッションコイル(点火コイル)、汎用自動車診断機。また自動車部品の製造で培った高度な技術で、鉄道車両用製品や地震・振動対策/橋梁用製品なども製造している。


◆高度な品質管理システム

 同社内にある市販事業部は組織直下に、北中南米、欧州、アフリカ、インド、アジア、中東、中国、メキシコ、ドバイの販売拠点を持つだけではなく、商品開発部門、生産管理部門も有している。それにより商品開発から生産、販売を一手に行うことが出来るようになり、より高度な品質マネジメントシステムの運用管理へと繋げている(ISO/TS16949、ISO9001取得)。


◆アフターマーケットへの取り組み

 世界的に様々なアフターマーケット用品を生産している同社は、それぞれの地域に合わせた事業戦略を展開している。中国、アジア等の伸長市場では、アジア域内での市販品生産の拡大、販売チャンネルの開拓など、市場拡大を主としている。それとは異なり、米国、欧州市場では「日立」ブランドの拡大を主として展開している。そのような中、日本国内市場では、「日立」ブランドの浸透を掲げ、イグニッションコイル、それと共に汎用自動車診断機に特に力を入れているという。


 イグニッションコイル

 近年のガソリン車に採用されているダイレクトイグニッション方式。この方式はイグニッションコイルをスパークプラグの直近に装着することで、点火エネルギーロスを少なくすることが可能というメリットがあるが、その反面、エンジンの熱や振動の影響を受けやすく、摩耗や経年劣化によるクラックなどが発生しやすくなっている。そのような現状に対応すべく、2年で4万キロという純正部品と同じ品質評価基準をクリアしたイグニッションコイルを提供している。またこの商品は国内8メーカー、約100車種に対応しており、今後も適用車種を随時拡大していく予定である。


 汎用自動車診断装置

 自動車の種類は年々増加の一途を辿っている。それに伴い仕様も多種多様になり、整備士に求められる知識も増加する一方である。

 そのような状況を解消するために近年同社が力を入れているのが汎用自動車診断機「Diagnostic MonitorHDM-8000」である。これは通常のスキャンツールとしての機能は勿論のこと、「自動車健康診断」機能を搭載している。

 この機能は従来の故障個所を判断するだけではなく、故障には至っていない摩耗具合まで診断することが可能とのこと。付属のインターフェースボックスをDLCコネクタに接続して健康診断を実行するだけで、全ての電子システムの自己診断(DTCデータ)とエンジンのデータモニタを自動測定し、健康診断シートを作成することが出来る。周辺機器として、バッテリーチェッカー、イグニッションコイルチェッカー、デジタルメカニックゲージ、空気圧チェッカー、オプションタブレットが用意されており、ニーズに応じて対応が可能。対応車種、周辺機器については今後も随時拡大していく予定である。



一般社団法人日本自動車部品協会 JAPA